平成三十年度
決算報告文
御指名によりまして、当委員会に付託されました平成30年度決算認定13件、議案第128号及び議案第129号の審査結果につきまして、ご報告申し上げます。
結果といたしましては、お手元にご配付いたしております審査結果報告書のとおりであります。
それでは審査の過程における主な指摘事項を中心にご報告申し上げます。
まず文教委員会関係であります。
心理的、または情緒的な原因などによって、登校の意志があるにも関わらず、登校できない状態にある小学生・中学生が、学校復帰を目標に、さまざまな活動を行う適応指導教室に関して、本市の不登校児童数は年々増加しているものの、適応指導教室の定員は例年20名程度と一定であり、更に、先着順で希望者を受け入れを行っている。本事業を必要とする児童生徒の為にも定員数や受け入れ方法などを見直す必要である。また、充実した支援を行うため、心理士を配置するなど人員体制についても強化すべきである。更に、市内に1ヶ所しかなく、遠方の児童生徒では通うのが困難であり通所を断念した事例もあるため、施設数を充実させる必要がある等の質疑、指摘がありました。
次に、これまで市立学校園に勤務する教職員の出退勤管理に関して、出勤簿への押印によるものであり、出退勤時間や時間外勤務、休暇等について適正に管理できていなかった。
そのため、時間を意識した働き方になっていなかったが、平成30年12月から教職員出退勤管理システムが試行運用されたことにより、教職員や学校ごとの勤務時間の比較や、繁忙期の把握もできるようになった。
今後はデータを分析して学校や教職員の働き方改革や業務の見直しを行い、教職員が本来行うべき業務や子ども達と向き合う時間を増やしていくべきである等の指摘がありました。
このほか、
○様々な指標を用いたICT教育の効果検証
○他市の状況を参考にした貸し出し図書の未返却者への対応
○校歌作成における作詞作曲業務の適正な費用の検証
○多額の不用額が出た検定受験料補助金の周知徹底
○移動英語村の積極的な活用
○随意契約の多い樹木剪定業務と薬剤散布業務の費用の見直し
○こども110番の家運動のプレートや小旗掲揚の確認
○参加人数が減少した留守家庭児童育成クラブの支援員研修の見直し
○公民分館の机や椅子等を買い替えるための備品購入費の増額要望
○国の目標値を目指した全中学校区へのSSWの配置
○職場体験学習と市内のものづくり企業との連携
等について質疑、指摘がありました。
次に民生保健関係であります。
まず、産後ケア事業に関して、母子健康手帳を交付する際や、すくすくトライなどで啓発を行っているが、より多くの方が利用してもらえるよう引き続き周知をしていく必要がある。
また、施設を利用する際に本人が直接申し込む必要があり、出産直後のお母さんにとっては体力的に厳しい。
このことから利用者の目線に立って負担が軽減されるように配慮する必要がある。
更に、産後ケア事業は支援を必要とする方にとって、なくてはならない事業であることから、当初の予算額を超えた場合にでも補正予算を組んで事業が継続できるよう進める必要がある等の質疑、指摘がありました。
次に、国民健康保険事業に関して、単年度収支において14億2707万円の赤字となった。
要因として新たに創設された事業費納付金の納付に必要な保険料を抑制したことによる財源不足などが挙げられる。
また、未収金は約15億円であり、前年度と比較して約3億7000万円減少している。
収納率は93.75%であり、更なる収納率向上の余地があることから、引き続き滞納処分を進め、未収金額を減らし、次年度からは赤字が発生しないよう収支均衡を図っていく必要がある等の質疑、指摘がありました。
このほか、
○猫の不妊助成制度の更なる活用に向けた周知
○がん検診受診率向上に向けた他市先進事例等検証の必要性
○長瀬斎場の整備進捗状況
○ケースワーカーの人員確保策
○災害時に救護所を開設した際の市民への周知徹底
○防犯灯設置補助金を活用しやすい仕組み作り
○子どもの居場所づくり支援事業におけるニーズと課題の把握
○待機児童解消に向けた取り組み
○社会福祉法人に対する指導監査業務を行う人員体制拡充
○生活困窮者自立支援制度の効果確認
○西家庭相談室分室の有効活用検討
○介護予防に向けた周知拡大とフレイル予防の促進
○つどいの広場の利用者数増加へ向けた施策
○緊急通報装置を使用した際に駆け付ける協力員の人員体制確保
○保育士の人材確保策
○子育て支援員研修事業の更なる拡充
○特定健康診査の受診率向上策
○コミュニティソーシャルワーカーの人員体制強化
○高齢者詐欺被害防止事業の効果確認
等について質疑、指摘がありました。
次に環境経済関係であります。
まず、不法投棄対策事業に関して、本事業はごみのない町をめざすべく、後を絶たないまちの不法投棄ごみ問題に迅速・的確に対応するものであり、平成30年度の事業内容は不法投棄防止看板の作成と市民への貸し出し、職員による夜間、休日も含めたパトロールの実施、また、不法投棄防止の監視カメラを6台増設したものである。特に監視カメラについては効果が高いと思われるが、不法投棄対策事業として多額の不用額が出ており、監視カメラの予算を増やすなど事業内の予算配分を精査する必要がある。
また、市民からの監視カメラの設置要望等の相談件数を把握していないとのことであるが、市民ニーズの把握や必要台数の精査のためにも相談件数等をしっかりと把握していく必要がある等の質疑、指摘がありました。
次に、就活ファクトリー東大阪に関して、本事業は、「若者・女性の未来を創る」をコンセプトに相談及びキャリアカウンセリングや各種セミナーなど、就職を支援する様々なサービスを提供し、市民にとって最も望ましいキャリアを選択できるように支援する就活応援を実施するものである。かねてから課題であった子連れ利用者への対応について、子どもとともに受講できるセミナーや託児付きのセミナーなどが実施されているが、今後、更なる利用者増加のためにもより一層の努力が必要である。また、仕様書に書かれている人員体制と比べ、実際に働いている人数が少なく、利用者等へも悪影響が出かねないため、早急な対応を講じる必要がある。更に、就活ファクトリーの対象者が男性は三十九歳までであり、若者を対象としている趣旨から理解は出来るが、今後は退職した人への再出発の支援も検討する必要がある。また、利用者の内訳では若者の男性の利用が少なく、課題点を改善して若者の男性の利用を増やす施策を講じるべきである等の質疑、指摘がありました。
このほか、
○特殊災害用資機材の整備状況と今後の活用
○再生可能エネルギー等普及促進事業の展望
○ごみ分別アプリの利用者を増やすための取り組みの強化
○大型ごみ有料化に伴う手数料収入の使い道
○医工連携プロジェクト創出事業の成果と今後の展開
○外国人雇用対策の拡充
○経営体育成支援補助金の交付状況と市内農業の復旧状況
○商業振興コーディネート事業の費用対効果等の検証
○若手経営者ネットワーク化促進事業の成果と課題
○商工会議所に対する補助金の補助率の見直し状況
○産業フェアのようなモノづくり体験型イベントを今後も開催する必要性
○産業技術支援センターの利用者数増加策
○勤労市民センターでの労働相談事業の相談件数が少ないことに対する事業形態等見直の実施
○商業者元気活力応援事業の実施内容と市内企業への周知
等について質疑、指摘がありました。
次に建設水道関係であります。
まず、上下水道局関係の審査に際しては、水道管路の更新に関して、経年数の高い鋳鉄管から過去に赤水解消を目的とした管更生工事を実施していない路線、鉛製給水管の多い地域や漏水履歴がある箇所を優先的に敷設替え工事を行い、老朽管の更新に併せて管路の耐震化に取り組んでおり、耐震適合率は平成28年度は16.3パーセント、平成29年度は17.1パーセント、平成30年度は17.8パーセントと約1パーセントづつではあるが耐震化を進めている。
また、下水道事業に関しても、下水管の老朽化について、50年を経過した老朽管が約100キロ程度存在する中、国の下水道総合地震対策事業のもと総合地震計画を策定し、優先順位をつけ事業を進めている。これらを踏まえ、今後も市民に対して安全かつ安定的に水の供給をしていくことは勿論のこと、南海トラフ大地震のような大規模災害が発生した時にも十分対応できるライフラインの確保に努め、計画的に管路の更新並びに耐震化を進めていくべきである等の質疑、指摘がありました。
次に、建設局関係の審査に際しては、空き家対策に関して、自然災害により管理不全な空き家に対する苦情や相談が多く寄せられる中、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす危険な空き家に対し、解体費用の一部を補助する制度を平成30年度より創設した。
所有者の資金的な問題、所有者の死亡による相続関係の複雑化など様々な問題が存在する中ではあるが、申請件数も年々増加しており、市民要望の高い補助制度である。今後においては、更なる予算の拡充、確保に併せ、セミナーや個別相談会の実施など所有者に対する啓発活動は勿論のこと、所有者が高齢の場合、ケアマネジャーなど所有者と関係性の深い方々にも啓発を進めていくべきである等の質疑、指摘がありました。
このほか、
○企業債の残債に関し市民に影響のないよう減らしていく必要性
○安心して生活できる浸水対策の推進
○市民の安心の向上を考えた上下水道局における啓発事業の取り組み
○魅力ある街の景観を考えた緑化ボランティアの育成
○不用額から見た緑化ボランティア推進事業の見直し
○市の負担軽減を踏まえた放置自転車対策における今後の取り組み
○更なる利便性向上を目指した小阪稲田線、高井田長堂線の整備
○ブロック塀撤去補助にかかる柔軟な取り組みと今後の対応
○密集住宅除却補助金における積極的な周知とスピーディーな対応
○市営住宅使用料未収金の早期回収を踏まえた取り組み
○東大阪市全体で考えた公営住宅等長寿命化計画の見直し
○更なる防災、減災を考えた、ため池防災テレメーターの活用
等について質疑、指摘がありました。
次に、総務関係であります。
まず、平成30年度普通会計決算に関し、花園ラグビー場や文化創造館といった大きな建設事業に集中投資しながらも、実質収支25億7900万円、単年度収支5億7400万円でともに黒字を確保しており、基金総額も前年度より12億1700万円増加した決算となっている。そのような中で、公債費が前年度に比べて22億8000万円増額している。
これは、市税の徴収率が前年度に比べ0.3%上昇し、市税が増収したことを活用して、市債の借換債の発行を抑制したことが要因となっており、これらの結果には、行政の相当な努力が垣間見られ、とても評価できることである。
地方債の発行抑制に加えて、将来における借り入れ利息の縮減を行うために、地方債の入札方式の採用および元金償還開始までの据置期間の縮減を今後も慎重に続けて行うべきである。
また、経常収支比率は94.9%と依然高水準であるが、中核市における平均値の約92%を目標とするのではなく、90%をきることを目指すべきではないか。更に、普通会計に占める教育費の割合が7.4%と大阪府下の各市と比較しても、非常に低い数値となっている。小・中学校の校舎が老朽化している中、必要な事業を先送りにせず、現在の子供たちが大人になっても住み続けたいと思えるような、将来を見据えた予算編成をすべきである等の質疑、指摘がありました。
次に、新たな観光まちづくり推進事業に関し、本件は、本市の資源を活用して、地元関連事業者や市民等と連携して、新たな観光まちづくりを推進することを目的としているものである。
現在、東大阪ツーリズム振興機構を立ち上げ、観光事業を委託しているが、人を呼び込むような取り組みが見えず、効果が発揮されているか疑問である。また、委託をせずに、市役所の既存の部署で対応できるのではないか。一方、現在、花園中央公園をはじめとし、観光のまちづくりが大きく動きだしているため、国の交付金の有無に関わらず、現事業を推し進めるべきである等の質疑、指摘がありました。
このほか、
○避難所における備蓄物資の整備状況
○被災者生活再建支援システムの導入経過と効果
○入札制度の改善点と適切な物品購入の契約
○国際化推進事業における不用額の要因
○市史編纂事業の進捗状況と古文書の保存方法
○職員数計画における人件費削減の影響
○事務作業の効率化につながる委託契約方法の検討
○DV相談の面接室を確保する必要性
○ふるさと納税の実績と市の魅力を感じる返礼品の検討
○ゆるキャラグランプリ開催による費用対効果と来場者数
等について、質疑、指摘がありました。
以上で決算審査特別委員会の委員長報告を終わらせていただきます。
長時間、ご静聴ありがとうございました。